○FPにゅうす○退職する前に知っておきたい 雇用保険からの給付

雇用保険から支給される失業等給付

失業等給付は、求職者給付、就職促進給付、教育訓練給付、雇用継続給付の4種類に分類されます。

今回は、求職者給付の最も代表的な「基本手当」と、65歳以上の方に支給される「高年齢求職者給付金」を紹介します。

「基本手当」の所定給付日数

基本手当は、雇用保険の被保険者が失業した場合に支給されるものです。一般的に失業手当と呼ばれています。基本手当を受け取ることができる日数(所定給付日数)は、退職理由や年齢、雇用保険の被保険者であった期間などの条件によって違います。

〇定年、契約期間満了や自己都合で退職の場合

〇倒産・解雇等により退職を余儀なくされた場合、期間の定めのある労働契約が更新されなかった場合、その他やむを得ない理由により退職した場合

〇障害者等の就職困難な方

65歳以上の方には「高年齢求職者給付金」

65歳以上で退職した方には、基本手当に代えて高年齢求職者給付金が一時金として支給されます。

〇高年齢被保険者(65歳以上で退職された方)

【基本手当日額】1日当たりの給付額

失業している日に受給できる、1日当たりの金額は次のように計算します。

基本手当日額=賃金日額(退職前6か月の賃金合計÷180)×給付率※(50%~80%)

※60~64歳の給付率は45%~80%
給付率は賃金の低い人ほど高い給付率になっています。また、賃金日額と基本手当日額にはそれぞれ上限額・下限額が定められています。

給付を受けるためには次の条件を満たしている必要があります。

・失業の状態で、就職したいという意思といつでも就職できる能力(健康状態・家庭環境)があり、積極的に求職活動を行っている事。
・原則として、退職の日以前の2年間に、12か月以上雇用保険に加入している事。
・倒産・解雇等による退職、契約が更新されなかった、その他やむを得ない理由がある
場合は、退職の日以前の1年間に6か月以上雇用保険に加入している事。
・高年齢求職者給付金(65歳以上の方に給付)を受けるには、退職の日以前の1年間に
6か月以上雇用保険に加入している事。
・ハローワーク(公共職業安定所)で求職の申し込みを行い、4週間に1回の認定日にハローワークに行き、失業の認定を受ける事(高年齢求職者給付金は求職の申し込みのみ)。

「基本手当」支給の開始と受給期間

【支給の開始】
〇解雇、定年、契約期間満了で退職した場合
支給の開始・・・求職の申し込みをしてから7日間(待機期間)が経過した後
〇自己都合、懲戒解雇で退職した場合
支給の開始・・・求職の申し込みをしてから
7日間(待機期間)に加えて、原則2か月(給付制限期間)が経過した後
※高年齢求職者給付金(一時金)も、基本手当と同様の期間が経過した後に支給されます。

【受給期間】
基本手当を受けられる有効期間を受給期間といいます。受給期間は退職の日の翌日から1年間です。受給期間を過ぎてしまうと、給付日数が残っていても基本手当を受けることが出来ません。高年齢求職者給付金の受給期間も退職の翌日から1年間です。

すぐに働くことができない方

受給期間内に、働くことができない状態が30日以上続いた場合は、受給期間を延長する制度があります。

【受給期間が延長される場合】
〇60歳以上の定年等により退職して、しばらくの間休養する場合
60歳以上の定年等退職者は、退職日の翌日から2か月以内に申請することで、本来の受給期間1年に、さらに休養したい期間最長1年間を延長することが出来ます。
〇病気やけが、妊娠・出産・育児(3歳未満)、親族の介護などで働けない場合
申請することにより本来の受給期間1年に、働くことが出来ない期間最長3年間を延長することが出来ます。

【年金との併給調整】
65歳未満に支給される特別支給の老齢厚生年金と雇用保険の基本手当(失業手当)は
同時には受けられません。基本手当を受給するために求職の申込をすると、基本手当の受給が終了するまでの期間、特別支給の老齢厚生年金は全額支給停止になります。
これは特別支給の老齢年金の対象となる1961年(昭和36年)4月1日以前生まれの男性と1966年(昭和41年)4月1日以前生まれの女性の方が対象です。

【雇用保険の基本手当と老齢厚生年金の両方を受給する方法】
64歳のうちに(65歳の誕生日の2日前まで)退職し、65歳以降にハローワークで求職の申込をします。これで厚生年金と最大150日の基本手当を受け取ることができます。

【まとめ】

雇用保険からの給付は、退職理由や年齢、雇用保険に加入していた期間などによって違います。退職時期については、雇用保険からの給付や、働くことで得られる給与や退職金への影響などを含めて判断していただきたいと思います。
また、雇用保険から給付を受けるためには、ご自身で手続きをする必要があります。
退職したら、ハローワークに相談に行きましょう。

 

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石黒 真理子
ファイナンシャル・プランナー

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